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校長室だより ♪校長室カンタービレ♪ 第35号が発行されました

♪校長室カンタービレ♪ 第35号

平成30年7月17日

現在ではそれなりの地位を得ている「音楽療法」ですが、私が若い頃にはほとんど知られていませんでした。そもそも「音楽療法」とは何なのでしょう。

言葉だけで捉えると、音楽を使った治療法ということになりますが、医者から治療として勧められるわけでもなく、専門医が存在するわけでもありません。治療というところまでは確立していませんが、それを補う形での補完療法として効果を高めることが期待されているものだと思います。

日本音楽療法学会は、「音楽のもつ生理的・心理的・社会的働きを用いて、心身の障害の回復、機能の維持改善、生活の質の向上、行動の変容などに向けて、音楽を意図的・計画的に使用すること」と定義付けしています。生理的働きとは音楽を通してリラックスしたり興奮したりする状態をもたらす働きを、心理的働きとはストレスや不安を軽減する働きを、社会的働きとはコミュニケーション手段を引き出し人間関係の形成を促す働きを指します。

また、歌ったり演奏したりするなどの能動的音楽療法と、音楽を聴いてリラックスする受動的音楽療法に大別されています。最近、一人カラオケでストレスを発散する若者が多いと聞きますが、これは能動的音楽療法に該当すると思います。

自分の心を落ち着かせたり、自らを奮い立たせたりするために音楽を聴くという経験は誰にでもあると思います。これは、自分の感情をコントロールするために自分が選んだ音楽を聴くという、自分の意志が能動的に働いているけれども、分類すると受動的音楽療法にあたります。たとえば、試合前にアスリートたちがイヤホンで音楽を聴いている場面をよく見かけますが、これは緊張感を自分で和らげるために好きな曲を聴いたり、感情を高ぶらせるために好きな曲を聴いたりしているのです。平昌オリンピックで羽生結弦選手は和田光司の『風~re-fly ver.~』を、小平奈緒選手はSuperflyの『Beautiful』を聴いていたとのことです。強靭な精神力を持っているはずの超一流選手でさえ、音楽の力を活用しているということになります。

音楽の効果は昔から認められ、様々な研究がなされてきました。それが現代の音楽療法として確立したのは、第二次世界大戦後のアメリカだと言われています。戦争で身体や心に傷を負った兵士の治療のため、米軍当局が音楽療法を試みて成功を収めたことが本格的な始まりのようです。日本でも2001年に日本音楽療法学会が設立され、音楽療法の啓発・普及活動や音楽療法士の認定を行っています。まだまだ発展途上の段階と言える日本の音楽療法ですが、音楽を通して一人でも多くの方が症状を軽減し、幸せな生活を送っていただけることを願います。第33号で書いた「脳波に基づいて自動作曲を行う人工知能」の活用にも、大いに期待します。

この音楽療法の分野は、私たちが学習してきた音楽鑑賞とは異なりますが、音楽の力を最大限活用することは本当に素晴らしいことだと思います。

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