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校長室だより ♪校長室カンタービレ♪ 第3号が発行されました

♪校長室カンタービレ♪ 第3号

 前号で私は一年目の大学受験で失敗したと書きました。今回は、その失敗した受験の話です。

当時の東京G大のピアノ科入試は、確か3次試験まであったと思います。実力のなかった私は、1次試験さえ通過することができませんでした。

1次試験の課題曲は、ショパンのエチュード1曲とプレリュード3曲の計4曲。技術不足であった私にとって、最後に演奏するプレリュードの3曲目の演奏が最大の山場でした。受験する前から、この曲をどう攻略するか、どう乗り越えるか、そればかりを考えていました。

18年の人生で味わったことのない最大の緊張感の中、演奏を始めました。1曲目のエチュード。我ながらうまく弾けました。これはいけると思った私は、2曲目と3曲目のプレリュードも無難に弾きこなしました。いよいよ最後の曲。ここから私は、自分の演奏をほとんど覚えていません。「難しい曲だ、頑張らなくては。」という意識からか、途中で頭が真っ白になってしまったのです。1ヵ所だけ指がひっかかってしまったことは記憶にあります。でも、すぐに弾きなおしたと思っていました。

受験後、審査員でもあった私の師匠に電話し、「どうでしたでしょうか?」とおそるおそる尋ねました。そこで師匠から一言、「3曲目までは良かったのに、最後の曲でなぜ演奏を中断してしまったのか?」と、強い口調でお叱りを受けました。「指がひっかかってしまいました。申し訳ありませんでした。」と答えるのがやっとでした。後日、私はすぐに弾きなおしたつもりだったのに、実は10秒弱の間があったと聞きました。ショックでした。

私にとって、この出来事は人生最大の失敗であり挫折を感じたことです。でも、この失敗から学んだこともあります。

「緊張は誰でもする。緊張して迎えた本番が、本当の実力である。緊張したからうまくいかなかったという言い訳は、絶対にしてはならない。」

「実力がないからこそ、不安を残したまま本番を迎えてはだめである。それまでの計画・準備がすべてである。」

どれだけ頑張ったとしても報われないことは確かにあります。でも、それは誰のせいでもなく、自分の責任なのです。

55歳となった今、大学に入ってから現在までもっともっと頑張っておけばと良かったと思うこともありますが、高校での3年間、私はガムシャラに頑張ってきたという事実は残っており、人生を左右する大切な3年間であったことは間違いありません。逆に言うと、この3年間の頑張りのみで、私はこれまで生きてこられたのかもしれません。だからこそ、「今しかないこの時を、大切にしてほしい。」と、生徒に強く訴えたいのです。

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