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校長室だより ♪校長室カンタービレ♪ 第9号が発行されました

♪校長室カンタービレ♪ 第9号

平成29年7月4日

 私はピアノを専攻していましたので、1人(ソロ)で演奏することが多かったですが、ピアノ連弾(1台のピアノを2人で弾く)や楽器・歌唱のピアノ伴奏など、他の演奏者と合わせる(アンサンブル)機会を与えていただいたことも多々ありました。特に20歳代から30歳代までは、プロの演奏家と共演させていただく機会にも恵まれ、大変貴重な経験をさせていただきました。

独奏・独唱の伴奏をする場合、まずは楽譜の研究と個人練習から始まり、次に合わせ練習を数多く重ね、本番を迎えます。合わせ練習では、音楽表現だけではなく会話によるコミュニケーションも大切にしながら、お互いの考え方や個性を理解し合い一つの音楽を作り上げていきます。合わせるということは、共に音楽を作り上げていく過程において大変重要なことなのです。

しかし、プロの演奏家と共演させていただく場合は、事前にじっくりと合わせる時間を取ることが不可能なこともありました。時には、本番前日に合わせ練習をし、当日のリハーサルを行い、即本番というパターンも経験しました。音楽的にはるかに優れているプロの演奏家の伴奏で、しかもコミュニケーションが十分に取れていない状態での本番となります。正直言って、逃げ出したいほどの恐怖があります。それでも私は、少ない合わせ練習を効果的なものとするため、様々な演奏パターン(相手の表現方法を何パターンも考え、それに対応すること)を考えながら個人練習を行いました。つまり、ソロに迷惑をかけずに対応できるよう、そして気持ちよく演奏していただけるよう、最大限の準備をして臨みました。おそらく私のレベルに合わせて妥協していただいたこと、さらには私の実力以上のものを引き出していただいたことも多々あったと感じています。演奏後は言葉で表現できないほどの達成感・満足感を味わうことができました。自己満足と言われるかもしれませんが、一人では味わえない音楽の喜びを感じた瞬間だったのです。

ところが、事前の練習とは全く違う演奏をされる方もいらっしゃいました。ホールの響き具合やその時の気分が関係してきたものだと思いますが、アマチュアの私にとっては対応が非常に困難となります。自分の力を本番中に試されていると感じました。でも逆に言うと、その時にしかできない演奏、その時にしか味わえない感覚を経験させていただくことができました。極度の緊張の中にも関わらず、不思議とその瞬間が楽しかったのを思い出します。

私のようなアマチュアピアニストを単なる伴奏者としてではなく、共演者として対等の立場で接していただいたプロの演奏家に、一つのことを追求してきた人の大きさや優しさ、そして厳しさを感じました。今、もう一度あの緊張感と感覚を味わいたいと思う自分と、練習をする時間と体力そして何といっても気力がなくなってしまった自分をなげく私が存在しています。

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