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校長室だより ♪校長室カンタービレ♪ 第36号が発行されました

♪校長室カンタービレ♪ 第36号

平成30年8月2日

皆さんは、「モーツァルト効果」という言葉を聞いたことがありますか。

ある解説では、「モーツァルトに代表されるクラシック音楽を聴くと頭がよくなると主張される効果」と記されています。本当に効果があるのかという真偽は定かではありませんが、様々な実験と研究が行われているのは事実です。

私は演奏技術を学ぶほうでしたので、あまり考えたことはありませんでしたが、モーツァルトの音楽が心身に影響を及ぼすのではないかということは以前から言われていました。それが一般的に知れ渡ったのは、1993年にカリフォルニア大学の心理学者フランシス・ラウシャーが行った実験が、学術誌「ネイチャー」に論文として取り上げられたことがきっかけです。

実験内容は、36人の学生に対し、アニメ「のだめカンタービレ」でも演奏されていたモーツァルト作曲「2台のピアノのためのソナタK448」を聞かせる、他のヒーリング音楽を聞かせる、何も聞かせず静かに待機する、この3パターンの環境に置いたあと、ⅠQテストを実施するというものでした。結果は、モーツァルトの曲を聞いたあとのテスト結果が著しく良かったことが発表されました。ただし、この効果は音楽を聴いて15分程度見られる限定的なものであると報告されています。その後1999年には、ハーバード大学のクリストファー・チャビスによって、モーツァルト効果はモーツァルト以外のクラシック曲でも生じることが発表されています。一方、アパラチア州立大学のケネス・スティールらによって、ラウシャーの実験結果は再現できなかったことも報告されています。そして2010年には、モーツァルトの故郷であるオーストリアのウィーン大学が、モーツァルト効果には証拠がないと発表しました。つまり、モーツァルト効果なるものは存在しないと結論付けたのです。ただし、「音楽を聞く」だけでは知能が発達しないことを示したもので、「音楽レッスンを受ける」ことで知能が発達する可能性を否定したものではありませんでした。近年メキシコで行われた研究では、幼いころに音楽のレッスンを受けると、子どもの脳の発達が促されたというMRI結果が出たそうです。

要するに、モーツァルトの音楽に限らず、音楽は人間の成長に役立つものであり、できれば幼いころから音楽に関わるようにすると脳の発達に良い影響を与えるかもしれないということです。そして、本人がその時に聞きたい曲を聴くことが心に対する効果であり、音楽療法の分野でいう最大の効果になるのかもしれません。音楽療法で大切なことは、自分が心地よいと思える音楽を使用することです。今では、人間に限らず動物や野菜にモーツァルトを聞かせると発育が良くなるとまで言われています。効果があると思えば、なんでも効果がある。難しいことは考えず、音楽を楽しめば良いということでしょうか。

そう言えば、私は年齢を重ねるごとにモーツァルトの曲を演奏することに心地よさを覚えるようになりました。もしかしたらこれこそが、私にとっての「モーツァルト効果」なのかもしれません。

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