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校長室だより ♪校長室カンタービレ♪ 第46号が発行されました

 

♪校長室カンタービレ♪ 第46号

平成31年1月22日

前号で書いた「著作権」において、時代とともに著作権管理業務や使用料の支払い等の事務が徐々に煩雑となり、その業務を担う団体が生まれてきました。この団体を「著作権管理団体」と呼びます。
世界で最初の著作権管理団体は、1842年にフランスで設立されています。日本では、1939年に設立された「日本音楽著作権協会」が担っています。通称「JASRAC(ジャスラック)」と呼ばれ、本部は東京の古賀政男音楽文化記念財団が所有するビル内にあり、現在では国内主要都市に15の支部が設置されています。ちなみに、中国支部は広島にあります。
私も演奏会を開催した際には、JASRACに申請していました。というか申請させられていたというのが正直なところです。ホールを使った演奏会ですと、こちらが依頼したわけでもないのにJASRACから申込書類が送られてきました。その用紙に記入し返送します。その後、著作権使用料の決定通知が来て支払いを行います。また、吹奏楽コンクールなどでレンタル楽譜(通常の販売楽譜とは異なり、貸譜としてのみ取り扱われる楽譜)を演奏する場合は、定められた金額を払ってレンタル楽譜利用許諾書をコンクール主催者に提出していました。使う側にとっては少し面倒な作業ですが、法律で決められていることですので当然守る義務があります。著作権使用料規定で定められているものは、利用者にとってまだわかりやすい。しかし、近年の技術進化に伴い、世界中のすべての人が情報の発信者・利用者となり、海賊版やパクリサイト等の問題が生じています。一方で、利用者が発信する権利をどう集中管理するかも問われています。使う側とJASRACの間で様々な衝突が起きているのも事実です。
最近では、音楽教室における著作権料徴収問題が話題になっています。
2017年、JASRACが音楽教室での演奏についても著作権料を徴収する方針を打ち出しました。それまでは著作権対象としていなかった音楽教室での演奏権(公衆に聞かせることを目的に、楽曲を演奏したり歌ったりする)を、突然徴収対象とすると発表したのです。これに対し、ヤマハやカワイ等の音楽教室を運営する企業・団体が、「音楽教室を守る会」を結成し、猛烈な反対運動を展開しました。
JASRACは、「音楽教室は生徒募集の広告で教師による高い音楽に触れることを宣伝しており、聞かせることを目的としている。教室での教師・生徒の演奏はいずれも公の演奏にあたる。」という主張をしています。一方、音楽教室を守る会は、「音楽教室での練習や指導のための演奏は、教育として技術を学ばせるためのものであり、公の演奏にはあたらない。聞かせることを目的とした演奏ではない。」と主張しています。両者は平行線をたどり、結局は司法判断を仰ぐことになりました。現在も係争中です。
JASRACは、「音楽著作権を保護することと音楽文化の普及発展に寄与すること」を目的としています。音楽教室は、「音楽教育を通じて音楽文化の普及発展に寄与すること」を目的としています。音楽文化の発展普及という同じ目的を持つ団体が争う目的とは何なのでしょう。この係争が、音楽の発展を阻むことにならないことを祈ります。

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